君の声が聴こえる
「んっ……」

「お口にあったかしら」

一応頷きはしたものの少年はだんまりを決め込んだように声を出そうとしない。

その代わりに首を傾げたり頷いたりして会話をやり過ごした。

とは言っても父を知っているのかだとか、本当にここでいいのかなどという質問ばかりで、どうしてここに来たかたずねても首をひねって悩むばかりだった。 

しばらくそうやって会話を続けていると少年のお腹がなったので簡単にオムライスを作ってあげた。

時刻はもう夜中の十二時。

和葉の食事は当に終えていた。

ぐらりと眠気がしてくる。

当たり前である、いつもならとっくに布団の中だ。


「コンビニで下着買ってくるわ、待ってて頂戴」


少年はスプーンを止め和葉を見入る。

シャワーぐらい浴びせてあげたいし、家の中にいるぶんには和葉のTシャツで十分だろう。

何せ和葉は百七十二センチの長身だ。
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