君の声が聴こえる
普通の人に着せてもでかい。

弟の服は、触れる気にはなれなかった。

まだ何も手をつけず生前のまま放置していた。

春休みにこうして暇している中学三年生の和葉は一応は私立のいいトコに受かっていて余裕といえば余裕な時間を過ごしていた。

それでも、芙美のことが忘れられず憂鬱な毎日を過ごしていた。

すると少年は指を口に当て寂しそうにじっと見つめてくる。

和葉の服の袖を引っ張ってもくる。


「少年……と、いけない名前がないわね。それともすでに名前があるのかしら?」

「…………」


少年は首を横に振る。


それを確かめて和葉は視線を少年の首にやった。


ネックレスがつけられている。プレート型の、シンプルなものだ。


「首には、AI―18って書いてあるから、ひいふうみいでひいやでいいわね」


少年はうれしそうに頷いた。








今日から彼の名前はひいやだ。
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