ガラス越しの恋
「バカ、弟も兄ちゃんもいるよ」

「冗談ですよ」


家の中に入ると、弟が走ってきた。小学生4年生の達久は何度いっても、半袖とハーフパンツで真冬でも暮らしている。

「姉ちゃんお帰り。あれ?この間とは違う男だ」

「おう、坊主。初対面の相手にはまず挨拶だろ。こんばんわ」


高耶くんは達久の頭を掴んで挨拶をした。その手の力がよっぽど痛いのか、達久は高耶くんの手を掴みながら挨拶をかえした。

顔は笑顔だけど、目が笑ってない。

「可愛い弟さんですね」

「あんたが弟じゃなくて良かったよ。あがって」

「姉ちゃん。先生来てるよ」

「担任が?何しに?」

「違うよ。大学の先生って言ってた」

大学の先生が一体何のようだろう?入学取り消しとかじゃなければ良いが、と思いながらリビングに向かった。

「花蓮、遅いぞ。あ?誰だそいつ、この間とは違う男だな」

5つ上の兄の晋太郎は無遠慮に高耶くんを見ている。


「花蓮さんの兄弟ってストレートですね」

言葉も感情もストレートなうちの兄弟たちには思わず苦笑いをするしかなかった。
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