ガラス越しの恋
「夢が叶うんだぞ。やらせてもらえ、花蓮」


沢山の人に私の絵を見てもらいたい。

小さい頃、おじいちゃんが私の絵を見ると心が洗われる、死ぬ時はこれを棺に一緒に入れて欲しいと言ってくれたことがあった。

おじいちゃんは私の絵をずっと大切にしてくれて、死ぬ時も抱きしめるように逝ってしまった。

その顔はすごく穏やかなものだった。

それがきっかけだったかもしれない。私が絵を描き続けたのは、沢山絵の勉強して、絵の仕事に携われて、誰かの心に少しでも残っていけるのならばと思っていた。

こんな形で叶うなんて思っても見なかった。


「君の絵は人の心に残る。僕も君の絵を沢山の人に見てもらいたい」

「こんなチャンス滅多にないですよ。花蓮さん」


私の意志は決まっている。


「やります。やらせてください」


謙遜とかしり込みで引き受けないほど、お人よしでもないし、ヘタレでもない。

来たチャンスとはしっかり、がっちりとつかめ、女の手でもつかめるチャンスは男と同じ位にあるとおじいちゃんが言ってた。

だから私は怯まない。
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