ガラス越しの恋
「じゃあ、明日の朝、迎えに来るから」

「はい。よろしくお願いします」



先生を見送ってから、4人で息を吐いた。


「凄いですね、先輩。画家デビューじゃないですか」

「大袈裟だよ。でも、頑張るよ」

「姉ちゃん、お金入ったらDS買っておくれ」

「「自分で買え」」


いつの間にか、高耶くんは内に馴染んで、遅い夕飯を一緒に食べた。


「そうか花蓮の後輩かぁ。女泣かせてそうな顔だな」

「嫌だなぁ。今日は折角のクリスマスイブだってのに、女にフラれたばっかりのブロークンハートのロンリーボーイなんですから」

「嘘付け。どうせ、やる気もなく出て行って、気の効いたプレゼントもなくて、もういい、知らないっって言われたんだろう。対して好きでもない女と付き合うから面倒くさくなるんだ」


小学生の前でそういうことを余り話さないで欲しいと思ったけど、達久はたまたま高耶くんが持っていたDSにすっかり夢中だ。


「仕方ないですよ。好きな人は、違う人と付き合ってるんですけど、諦められないんです。代用品でもないとやりきれない」

「思うだけでは辛すぎるか・・・。ガキの癖に大人みたいなこと言いやがって」


晋兄ちゃんはふぅっと煙を吐いた。

彼も片思いをしていることを私は知っている。けれど、それを彼は絶対に伝えることはしない。

相手の幸せを祈る。そんな好きの形を兄は選んだんだ。


「でも好きなんて気持ちがある限り、良いんじゃねぇか。頑張れよ青少年」

「好きな人に、好きになってもらうだけなんですけどね」

「一番簡単なことなのにね。難しいね」


< 14 / 50 >

この作品をシェア

pagetop