†鑑査委員制度†
部屋に入ってまずはパソコンを立ち上げ、俺は電気も点けずにベッドに腰を下ろしてさっそく牛丼を食らう。
部屋いっぱいに青白い光が充満した頃、食べるのもそこそこに、立ち上げたばかりのパソコンと向き合いメールをチェックする。
一件、学校から送られたらしいアドレスを確認すると、ひとまず読まずに家での鑑査の仕事を済ませようと、次々と人のブログやプロフにチェックを入れた。
そして気になる書き込みを見つけてしまった。
【嗜好品】マルボロ〓
主に自分の自己紹介がトップ項になっている、プロフと呼ばれるサイト
中高生の需要率が高いとされるサイトの一つ。らしい。
確かに自分が管理している者も例外ではなく、チェックを入れる半数はこのプロフを利用している者で、千里も都合上、自分のプロフが幾つか存在している。
自分の左半分、短い頭髪部を何となく手持ち無沙汰で撫でながら、どうしたものかと考えた。
例外はさておき、このサイトでの【嗜好品】は暗黙の了解で“煙草”を愛用しているかどうかを聞いている事になっている。
少し前までストレートに煙草のどのメーカーの物を愛用しているのか尋ねる項目だったらしいのだが、なぜか【嗜好品】へと名称を変えたらしい。
大方利用年齢層のニーズに合わせたといったところか。
だからこれはそれのなごり。
だがたまに、
体に悪いからすいません〓
などと、わざわざご丁寧に書く必要が皆目分からない書き込みも存在するにはするが・・・
まぁ、煙草とは全然関係無いものとかも希にね。
でも今回ははっきりと銘柄が書かれているし、十中八九「自分は煙草を吸ってます」と宣言している文句だった。
これを千里が学校に素直に報告すれば、間違い無くこのプロフ主は何らかの罰を受ける可能性が高い。
鑑査の事を考えていると、ふとミコトの顔が浮かんだ。
そして何故か胸が酷く疼く・・・
画面のカーソルを下にスクロールさせると、【このプロフを通報する】と書かれた項目に目を止めた。
今度は意識的に、妹の千紗について思いを巡らせる。
ついでに今日読んだ本の事も・・・