†鑑査委員制度†
心の底で見つけたもの
次ぐ日の放課後、瀬川透は自分の鑑査室である資料室で担任柴田からの新たな説明を聞いていた。
それは主にもう期限1週間と切った夏休みに入ってからの“委員会”の活動内容で、夏休み3日目からの勉強合宿。
その後7月いっぱいまで続く校内セミナー中の鑑査の継続はもちろん細かな決まりはその都度、随時知らせるとの事だった。
瀬川透は依然、鑑査委員制度について疑問視し続けていたが、半場本人も諦めがついてきている。
まぁこうなってしまったものはしょうがない。
自分にはどうにもまだ要領が掴みきれておず、それ故まるで身動きがとれないので手のうちようがないとも言えるが・・・
ここは抵抗するより、大人しい振りをして事情を把握していったほうがどうにも利口そうだと透は思っていた。
それにしても鑑査委員制度とは別に、瀬川透は少し気がかりな事があった。
うーん、やっぱこれってそういう事だよな?
柴田先生が去った資料室で、ケータイの画面を見つめながら俺は頭を捻った。
可愛げ無いことに、俺はそんなに鈍い人間ではない。
例えば異性に個人的な好意を持たれることに、自惚れでもなんでもなく察する事ができるほどには聡いつもりだ。
そして今回は、久保田莉加についてその節が思い当たっていた。
やっぱりそうだよな・・・
昨日の夜交わした久保田莉加とのメールを眺めながら、さっきから同じような事をずっと悶々と考えていた。
確かに好意を持たれているようには感じていたけど・・・だけどそっから先に恋愛感情が絡んでくるかまでは、さすがの俺にも判断しかねるところだ。
でも・・・
「これはねぇよな」
思わず呟きがもれ、眉間にシワを刻んだ。
女子は凄いと、皮肉でも何でもなく思う事がある。
もう告白したも同然のメールや思わせぶりな態度を駆使して、相手を自分の恋愛ごとにとにかく巻き込む。
無視できない状況に相手を囲う駆け引きには正直疲弊する。
自分が今までにその渦中に何度か巻き込まれ、面倒なハメに遭ったことがある分
俺にはどうもそうした色恋沙汰には辟易してしまう気があった。