†鑑査委員制度†
一通りのプリントが集まった所で、乱雑に置かれた紙の山の角を揃える作業に取り掛かる。
「瀬川く〜ん」
するとそこへ、わざと作ったような甘ったるい声が降ってきた。顔を上げると、久保田莉加と金沢奈美がプリントを持ってやってきたところだった。
「出すの遅れてごめんねぇー?」
「あぁ別に平気だよ」
愛想よく答えると、彼女達は何かきゃきゃとはしゃぎだした。
しかも立ち去る様子どころか、プリントも一向に渡す気配がない。
それよかこのまま会話を続ける雰囲気のようだ。
早くプリントを受け取って、彼女達には去ってほしいのはやまやまだったが、むげに扱うわけにもいかず結局会話モードになる。
「そう言えば久保田さん達。さっきの授業、ケータイいじってたでしょう?」
声を明るくして、からかい口調で聞くと、何を勘違いしたのか。
「やだぁ見てたの〜?」
などと照れた様子で二人にまくし立てられた。
「うん。僕一番後ろの席だからよく見えるんだ」
まじで色々とね。
「奈美とメールしてたんだよー」
そう言い久保田莉加は横の金沢奈美に同意を求めた。
まさか同じ教室に居るのに、メールのやりとをしていたとは思わなくて、俺は驚いて・・・いや呆れて思わず本音を漏らしてしまった。
「わざわざメールするの?同じ教室にいるのに?」