†鑑査委員制度†
「だって瀬川くんて、私、ちょっと怖い人かと思ってた」
「あぁ僕、目つき悪いからね」
金沢さんだけでなく、だいたいの人が俺からそんな印象を受けるものらしい。
入学当初は結構それで、誤解されていた節がある。
「何か瀬川くんて可愛いよねぇ〜。見た目厳つめなのに、超謙虚だし!」
ねっ奈美!そう久保田さんが声をあげ、二人はあぁでもないこうでもないと盛り上がる。
俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。
「久保田さん達、プリント貰える?」
笑顔で彼女達に片手を差し出した。
もうどうにもいたたまれない気持ちが居心地悪くて、早くこの場から退散してもらいたかった。
「あっごめんねぇ〜」
またあの間延びした調子での返事と共に、やっとプリントを受け取れた。
去り際に二人にケータイのアドレスを聞かれ、後日交換する約束をすると、彼女達は満足そうに自分の席へと戻って行ったのだった。