†鑑査委員制度†
「失礼します」
挨拶をしながら入室し、後ろ手にドアを閉めた。
職員室はいつも、この独特の雰囲気が何ともいえない。
コーヒーや古紙、インクなど様々な匂いが充満し、いつも以上に人の目線が気になる。
俺はいつも何となく背中がそわそわしてしまい、長いをしたい場所ではなかった。
辺りをキョロキョロと見回すと、柴田先生はすぐに見つかった。
先生も俺に気づいたようで、目が合うと口角を少し上げて答えた。
「先生、プリント持ってきました」
「ご苦労様です」
先生は俺からプリントを受け取ると、パラパラと目を通し始める。
「だいぶ整理できましたか?」
目線をプリントに落としたまま、尋ねられた。
「はい」
何の事を聞かれているか分かっているので俺はすぐに返事をした。
「誰かに話してもいないですね?」
「もちろんです」
先生はぱっと顔を上げて、俺と目を合わせると移動を申し出た。
「今日は資料室でお話しましょう」