†鑑査委員制度†
俺はそれに同意して、職員室と同じく三階にあるという資料室へと移動する事にした。
「資料室とは言っても、古くなってしまった図書室の本や、赤本が置いてあるだけの場所なんですよ。広さは無いので窮屈かもしれませんが・・・」
そう言い先生は俺に笑顔で話しかける。
資料室はぱっと見じゃ気づかないような、非常に奥まった所にあった。
三階はたたでさえ授業を行う教室が少ないため、通り過ぎてきた教室はもちろん全てもぬけの殻だ。
俺たち以外の人の気配が一切感じられないのは、何だか不思議な気分だった。
柴田先生が鍵を開けるのを見守り、しばらくすると鍵の開くカチャという音が聞こえる。
「どうぞ」
先生は俺を室内に促す。
入った途端に古くなった本独特の、あのカビ臭い匂いが鼻についた。
普段いる教室の半分といった広さの資料室には、先生が言ったように古そうな本や赤本が五つの大きな本棚にびっしりと詰まっていた。
ドアから面長に伸びた教室の、左の壁際に一定の間隔を空けて本棚が行儀よく並んでいる。
俺たちは人が一人通れるくらいの余った右側の通路を通ってさらに奥へと自然と進む。
すると少しだけ広いスペースが開け、そこには本棚に隠れて見えなかったのだろう、職員室にあるような教員用の机と椅子が一つ置かれていた。
上を見上げると、細長い窓が天井付近に二つ付けられており、そこから光が挿し込みホコリを煌めかしていた。
まだ明るい時間だったが、資料室は窓から挿している光以外何となく薄暗く感じた。
先生は机から椅子を引き、俺に座るように無言で示す。俺もそれにならって腰を下ろした。
先生自身は机に軽く腰掛けて、腕を組み真面目な顔つきになる。
「それじゃ、昨日の話の続きをしましょうか」