†鑑査委員制度†
「取りあえず、引き受けてもらえると言うことでいいでしょうか?」
「断ると言ったら断れる案件ですか?」
「いえ」
柴田先生はにわかに笑みを浮かべる。
あぁやっぱこの人掴みどころがわかんねぇ。
改めてそう思い、俺も応戦するため改めて姿勢を正した。
「あの、引き受ける前に聞いていいですか?」
「何でしょう?」
「何で、僕なんでしょう?」
「選ばれた理由の事ですか?」
そう、聞かされてからずっと疑問だったんだ。
何でよりにもよって俺なのかと。
「はい。昨日校長先生が言っていた審査というのも気になって」
「あぁ審査というのは、単純に学力の事です。入学してすぐに受けた学力テストと、中学校の方から送られてくる内申書の兼ね合いで決められています」
「そういう事なら僕が選ばれたのは明らかに人選ミスですよ」
にわかに笑みを含んで答える。実際学力で決められるなら自分よりも、もっと適任の奴がいるだろうと本気で思った。
「そうは言っても、クラスで10番内には入っている事ですし充分ですよ。それに最終的な決め手は学力なんかじゃありませんから」