†鑑査委員制度†
「まぁ最初の学力審査でそれなりの人数に絞られてしまうのは事実なんですが、後は基本的に鑑査委員の選出は各クラスの担任教師に委ねられているので、結構クラスごとで選ばれる子に偏向があったりするんですよ」
って事は、先生が俺を最終的に選んだというわけか?
ますます何故自分が選ばれたのか不思議だ。
「先生は何で僕を選んだんですか?」
「そうですね。僕なりに色々理由はあるんですが、瀬川くんは良い意味でクラスの子達に一線を引いている風だったので向いていると思ったんです」
俺は心臓が止まるかと思った。みるみる顔が引きつっていくのが自覚できる。
「えっ・・・?」
「もうだいぶ理解してもらっていると思いますが、鑑査委員には公平な目でクラス全体を見つめてもらう判断力が大切です。その点、君なら私情を挟まずにこなせると思ったので僕は推薦しました」
驚きのあまり声が出ない。確かに俺には、人と距離を置こうとするところがあるし、それは俺が故意にやってる事だ。
でもこれまで一度もそんな俺を見抜いた奴なんていなかったし、俺自身上手くやっていたつもりだったのに・・・
それが周りに知れていた事、そしてそれが知れた状態で尚も今まで澄ました顔を自分がしていたと思うと、端から見たらさぞ自分は滑稽な事だっただろうと思い至った。
自分の無粋さに頭に一気に血が上る。