†鑑査委員制度†
「すいません。まさか君にそこまで強い反応をされると思わなくて・・・嫌な思いをさせてしまいましたね。謝ります」
「・・・いえ、僕こそ突然すいませんでした」
自分の弱点を掴まれている。そんな感覚がますます俺を縛り、相変わらず床から顔をあげられずに答える。
「僕は、そんな風に見えてますか?」
自分が想像していたより、だいぶ小さな声になってしまった事にさらにへこんだ。
でも最後の意地でそこは否定するようにそう尋ねた。ついでにそれは先生一人が悟ったのか、あるいは一般的な意見なのかという懸念もあっての発言だった。
「そんな事はないですよ。むしろ瀬川くんは人当たりが良くて真面目な生徒だと、職員室でも専ら評判です」
俺の聞きたい事が分かっているのか先生は俺への定評を並べて説明する。そしてそこにけして自分の評価を差し込まないあたり、僕はそうだと思っていないという意志がはっきり組くまれているように思った。
「どうしますか?今日はもう止めにしてまた明日にでも・・・」
「大丈夫です」
そこはきっぱり言い切った。
このまま帰るなんてできない。それは先生の俺への認識を認める事になる。
それに俺もだいぶ気持ちが落ち着いてきたように思った。
顔を上げて、柴田先生にやや挑戦的な視線で笑って見せた。
「続けて下さい」