†鑑査委員制度†
「あの、このL欄って必要ですか?先生達がそんな事知ってて何になるんでしょう?」
「・・・説明、聞きたいですか?」
先生に若干苦い顔をされて不思議に思う。しかし俺には到底このL欄とやらの存在意義が分からない。
空気を読めという無言の答えは察したが、さっきの仕返しという気持ちも少々チラつき、敢えて空気を無視する事にした。
「聞きたいです。教えて下さい」
報復に、にっこりと微笑むと先生は少々バツの悪そうな顔で話し始めた。
「前に、うちの女子生徒がその・・・妊娠をしてしまった騒ぎがありまして」
えっ!?
突然な話で驚いた俺をよそに先生は話しを続ける。
「それでどうやら相手もうちの男子生徒という事だったのですが、その女の子が相手を庇って誰だか分からなくてね。つき合いも厳かだったのか周りの生徒も誰も知らなくて、責任問題云々で大問題になりました」
そこで俺はようやく話しだす前の先生の気まずそうな様子を理解した。
やばい。これじゃ聞いた俺のが気まずい。
「それでまぁその一件以来。高校生にもなると、できる。できない。の問題もあるだろうとの事で・・・」
「分かりました。すいません、もういいです」
言いづらそうではあるが柴田先生はいたって真面目な顔つきで話すものだから、何とも俺には居たたまれない。
一瞬ちらりと聞かなきゃよかったなと後悔して苦笑いを浮かべた。
「すいません。そもそも何であるのか何て僕が聞く事ではありませんでした」