†鑑査委員制度†
“報告概要”と書かれたその項目は、少し変則的な作りをしていた。
太目な横線が枠内いっぱいに引かれ、左端に一升程度の小さなスペースがとられている。
そして横線の三分の一程度とられている中くらいのスペースは、同じく左端の二番目に設けられている。
横線はどれも三分割されていて、左からどんどん升目が大きくなっている作りだ。
先生は自分の持っている紙を俺に向け、一番左端の升目を指差す。
「ここに日付を記入します。そしてその隣が報告対象者の名前の記入欄」
先生の指はどんどん右へ移動する。
「最後に大雑把でかまわないので報告内容を書くという事になっています」
「はい」
「ちなみにこちらも良い行いの報告は赤いペンで、悪い報告時は青か黒ペンの記入という事でお願いします」
「えっ?」
その言葉に思わず顔をあげた。
「どうしました?」
「いえ・・・何でもないです」
そうか良い報告というのもあるんだな。
少し盲目だった。
でも大体は悪い事の方が矢面に立つ場合が多い。はたして良い報告がどんな事例になるのかは疑問だが、一応フェアであると言えるのかもしれない。