†鑑査委員制度†


そう考えるのも今更か。


諦めてもう他の鑑査委員の奴らの事を考えるのは止めにした。


本当は誰かと接触して聞いてみたい事が色々あるところだが・・・どうも無理そうだからな。


「えっと、また話しが逸れてしまいましたが、特典について話しをしていいですか?今日はこの説明を最後にしましょう」


俺はそれに同意して、持っていた紙をようやくファイルに挟み込んだ。(受け取った後の話しの急展開ぶりにすっかり忘れていたんだ。)


「一つはその鍵。各鑑査委員には、校内の一室が支給されるという事。学校にはそれ以外予備が一つもないので、誰かに入られる恐れがありません。だから作業はこの部屋でって事でお願いします」


「はい」


「そしてこれは非公開登録なんですが、実は瀬川くんは昨日からA特待生になっています」


はっ!?


驚きのあまり一瞬にして声を失った。


うちの学校には各学年に合わせて20人前後の上はA特待生、下はC特待生という学費免除やその他進学に有利になる特待生制度がある。


俺も詳しくは知らないが、とにかくA特待生ってのは当然ランクが一番上なわけで、入学金、それと授業料免除の他、確か修学旅行の積立金もタダという。まさに至れり尽くせりな特待生制度なはずだ。


しかしすでに俺は入学金を払ってここに入っているし、授業料も積立金も毎月親が支払っているはずだ。


それを今更特待生扱いって・・・どう説明するんだよ?
< 33 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop