†鑑査委員制度†
「よく分からないけど、随分待たせてしまったみたいだね。謝るよ。僕に何か用?」
愛想良く答えると、彼女は一瞬表情を止めた。そしてなぜか「なるほど」と呟き軽やかに机から降りる。
「なるほどね。噂通りだわ。君がA組の貴公子、瀬川透ね」
そう言うと彼女は腕組みをして、俺を遠慮なくじろじろと眺めだした。
貴公子!?
彼女の使った言葉にえらく衝撃を受け、内心たじろいだ。
「ふむふむ」
彼女は俺の動揺をお構いなしにわざとらしく何度も頷き、そしてゆっくりと俺の方へ歩いてくる。
「一見近寄りづらそうなのにこの紳士なフラットさ。これは確かに女の子が騒ぐのも無理ないわね。さすが女殺し」
「・・・あの?」
さすがに今のはむっときて、謙を含まないように最大限の笑顔を向けた。
「あぁ別に嫌みを言ってるわけじゃないのよ。むしろ感心してんの」
気を悪くしたらごめんなさい?と、彼女が一瞬申し訳なさそうな顔をしたので俺はとっさに用意していた言葉を呑み込んだ。