†鑑査委員制度†
「女子からの人気はもちろん。その外見に反したフラットさは男子、教師陣からも高評価」
彼女は表情豊かにまるで歌うかのように一気にまくし立てた。
「これなら選ばれるのも当然ね。私は貶したんじゃなく誉めたのよ。お分かり?」
からかうように上目づかいで見つめられ、やっぱり綺麗な子だと不覚にもドキリとさせられた。に、してもだ。
「君は・・・?」
「察してくれた?私は1年B組、姫宮ミコト。あなたと同じ鑑査委員の1人よ」
あ痛たた・・・
思いっきり頭を抱えたいところだったが、人前ということで何とか自分を抑えた。
全く次から次へと・・・この得体のしれない連中が!!
いっそこの子に当たりちらしたい所やまやま。最近の自分は自制が効いていないという自覚があるので、ひとまず感情のスイッチを切る。
「確か鑑査委員同士の接触は禁止だって聞いてるけど?」
これ以上にない微笑みを彼女に向けると、するとそれに対抗するかのように彼女も華やかに笑みを浮かべてみせた。
「お互い協力できた方が得じゃなくて?」
「協力?」
「そうよ。持てる情報は有効活用すべきだと思わない?」
お互いここは腹の探り合いだ。確かに俺も鑑査委員制度について色々知りたいと思っていたのは事実で、それには誰か同じ鑑査委員の奴らと接触するのが一番だと考えていたが・・・
いくら何でもさっき会うなと釘を刺されたばかりだ。
だぁーもう!!何でこのタイミングだ!?
これはあってもいい事なのか!?!?
ふと考えて一気に何もかも面倒臭くなった。
正直今の俺はだいぶ気持ちがささくれ立っている。
今この状態で、目の前のこの明らかに面倒臭さそうな女と正確に対峙するには、あまりに気力が欠けるというものだ。
考えても埒が明かないので、仕方なく俺から口火を切ってみる事にした。
「それで、いったい君は何が知りたいの?」
「話が早いわね」
「まどろっこしい事は嫌いなんだ」
冗談混じりの作り笑いを向けるとやはり彼女もそれに答える。
「えぇ、私もよ」
まだ微妙な攻防戦は続いている模様だ。