†鑑査委員制度†
「私は1年B組の姫宮ミコト。鑑査委員でのモットーは恋愛ヒエラルキーのコントロールってところかしら?」
どうぞよろしく。と、姿勢を正して綺麗にお辞儀をされ、そこまでされれば俺も自己紹介をしなければ締まりが悪い。
「A組の瀬川透です。さっきはきつい言い方ですいません。僕も実は同じ委員の人とは話したいと思ってたところです。よろしく。」
そう言ってこちらも軽く会釈をした。するとまだ顔を上げきってない段階で声が飛んできた。
「あなたのクラスはどうしてるの?」
「・・・どうしてるって?」
何のことだ?
「あなたの鑑査方針よ」
はっ?
方針も何もそんな事、考えるものなのか?
怪訝に眉根を寄せると彼女、姫宮ミコトも同じように怪訝な顔つきになった。
「まさか・・・何の対策もせずにただ鑑査してるの?」
「鑑査もなにも僕は昨日、鑑査委員になったばかりだから・・・」
姫宮さんは違うの?純粋に疑問に思って尋ねると、姫宮ミコトのくりとした大きな目はギョッとして、さらに大きく見開かれた。
「昨日!?入学してから3カ月も経つのに!?」
「えっ、まぁはい」
「信じられないわぁ・・・」
姫宮ミコトは何か一人でぶつぶつと呟いている。
確かに俺も初めこの話しを聞いた時は急な事だとは思っていたが・・・何せ事態が突拍子もないだけにそんなものだろうと思っていた。だがどうやら俺は稀な例だったらしい。
「じゃぁ姫宮さんはいつから?」
「学力試験のすぐ後だから・・・4月の後半にはもう鑑査委員やってるわ。」
「そんな前から・・・。」
素で驚いて目をしばたかせる。
「こっちのが驚いたわ。瀬川くんの他にも別の鑑査委員の子と接触したけど、みんな少なくても五月中には鑑査委員になってるわよ?」
へぇ・・・。
思わず柴田先生の顔が浮かんだ。