†鑑査委員制度†
なるほどな。何か、ますます着いていけてないな俺。
そもそも恋愛ヒエラルキーってどういう意味なんだ?
疑問に思って質問してみた。ついでにそういうのは俺も何かスローガン的なものを考えなくてはならないのか?という確認をする意味あいも含めて。
「まぁそこは個人の自由だと思うけど?自分の個性の位置付けって意味では私は大切だと思うわ・・・何?あなた、推薦状に興味ないの?」
「いや、そんな事はないよ」
実際それほど魅力的には感じていないが・・・でもそこを何故と突っ込まれても返答できないので笑顔と共に濁した。
姫宮ミコトは続ける。
「鑑査報告書の説明を聞いたのなら、L欄。分かるでしょ?」
あぁ・・・あの取り分け意味不明なやつ?自然と顔は渋くなる。
「あの付き合ってる人とか、別れた人を書くっていうやつだね。あれ、悪趣味だよね」
このL欄自体は過去の先輩方が起こした不祥事の教訓のようなモノらしいが・・・
それにしてもどうかと思う項目だ。
「何言ってんの」
当然共感してもらえるものかと思っていたところで、ピシャリと叱咤の声が姫宮ミコトから飛んできた。
「L欄こそ、人間関係を把握するにも大切な項目でしょうが!」
えっそうか?
姫宮ミコトの反応におののく。そして黙りこんだ。
「さっきも言ったでしょ?みんなそれぞれ手段は違えど鑑査を工夫してるって。でもねぇそれにみんな共通してるのは、クラスを人為的にまとめ上げるって事なのよ」
まるで刺すのかとごとく睨まれた。
どうやら俺は何故か姫宮さんの逆鱗に触れてしまったようだ。それだけは分かった。
「瀬川くん、クラスを人為的にまとめるには、どうしたらいいと思う?」
「・・・まとまりって自然に出来てくるものじゃないかな?」
すると姫宮ミコトはフンと馬鹿にするように鼻で笑い、軽く声を荒げた。
「なに希望的観測で言っているの?それにそれをあえて築き上げるのが私たちの仕事でしょうが!」