†鑑査委員制度†
「にしても柴田先生食えねぇ。俺、何度も鎌掛けたのに全然そんな素振り見せなかった」
椿千里は単純に感心しているのか何度か小さく頷く。
俺はどうしていいのか分からず、曖昧に笑っていた。
「でも、瀬川くんのことはマークしてたんだよ。まぁ名前までは知らなかったし、漠然とだけど」
「そりゃこんだけ顔整って目出ってればね」
不意に姫宮ミコトが話題に割り込む。まだ声はどことなく不機嫌な調子だが・・・
椿千里も「だよなー」なんて横で同調している。
「顔は・・・関係ないんじゃ?」
微妙に腰が引けてそう尋ねると、椿千里は大袈裟に声をあげた。
「うわ、まじだ!何も知らないんだねー!」
「だから言ったじゃない」
機嫌が直ってきたのか、姫宮ミコトは薄く笑ってそれに答えた。(でも最後にハンと言い放った分は余計だと思う)
「瀬川くん、鑑査委員制度には顔審査があるんだよ」
まじですか・・・
どう反応したらいいか分からずに固まる。
「何か・・・それはどうして何だろね」
殆どこぼれでたその言葉に姫宮ミコトは反応した。
「決まってるじゃない。美しい者の方が周りを取り込みやすいからでしょ」
「そうそう、虜とも言う」
姫宮ミコトは至って真面目な顔で、椿千里は明らかに面白がって言っている。
お前ら・・・それ自分たちのこともそうだって言ってるようなもんだぞ?
呆れて思わず「そうですか」とかアホな返事を返してしまった。
そしてそんな俺を見て、椿千里は笑う。
「ははぁ!瀬川くんって面白れー!」
・・・・・・俺はちっとも面白くない!!