†鑑査委員制度†
椿千里は一通り笑い通したところで、ふいに俺の肩に腕をまわした。
「やばいね、瀬川くん最高!俺、瀬川君の事気に入っちゃた。ファーストネームで呼んでいい?」
そしてその申し入れに対する俺の返事を聞かぬまま、姫宮ミコトに向き直る。
「ところでミコト。お前、誰だっけ?もう聞いたの?」
「・・・まだ」
「ハハッ今まで何やってたんだよ?」
「うるさい!」
機嫌が直りかけていた姫宮ミコトは、またぶっちょう面に戻る。
「まぁまぁ透くんもまだ鑑査になれてないところだろうけど、こいつに協力してやってくれる?何かこいつコレに関してはかなり熱あげてんだ」
もう俺は下の名前で呼ばれる事が決定したらしい。
椿千里。見た目や声の印象から、一見冷たそうな人物にも思えたが・・・ずいぶん人懐っこい奴だな。
それともこれは対人用の顔なんだろうか?
どちらにしても俺はとてもじゃないが、初対面の人間にここまで親しく接っせないな、まぁする気もないが。
俺は警戒心からもったい付けた返事を返す。
「僕は椿くん達から見たら、きっと色々知らない事ばかり何だろうね。でもだからこそ、きちんと理由を説明してくれないかな?」
「だってさミコト。て言うか千里って呼んでよ?俺だけ透じゃ変だろー」
そういきなり言われてもな・・・。
内心渋ったが、取りあえず頷いておく。