†鑑査委員制度†
「なるほど、そうですね。この学校の校則なら、僕たち生徒は従う義務があると思いますよ」
「はい」
柴田はコクリと頷く。
「でもその鑑査委員制度・・・?とやらを、同じ校則と見なして従うにはちょっと」
「納得いきませんか?」
「はい。ちょっと受け入れ難いです」
たぶん鑑査委員制度というのは限り無く俺たち生徒にとって、不利益なものに違いない。
今までの校長、柴田の態度からもそう言っているし、そもそも学校というものは俺たちを縛る校則には理不尽なものばかりだ。
まだ全容が明らかになっていないが今までの話しを総合すると、俺がクラス単位だか学年単位だかは知らないが、生徒を監視して教師にリークするというのが俺の役目なのだろう。
俺は言わば学校側のスパイというところだ。
自らも学生の身でいながら、限りなく他の生徒にとって害をなす対極な存在になるだろう。
全くふざけた話だ。そんな事を誰が引き受けるか!
確かに他人なんか俺に火の粉が飛んで来ない限り、別にどうなろうと関心なんてまるでないが・・・
でもそれにしたって誰かの事情を勝手に教師に売るような真似は、さすがに少ないながらも俺の良心が痛むというものだ。
それに、もしそんな事をしていると周りに知れたらと思うと・・・・・・
血を見るのは明らか、吊し上げではまずすまないことが予想される。そういうことは暗黙の了解でタブーだろう?
全く想像するだけでも末恐ろしいかぎりだ。