†鑑査委員制度†

飲そのちに、女の子の1人がやたら俺の腕や肩の辺りを触ってくることに気がつく。


苛粘着しつのある触りかたにし鬱陶しく不愉快であった。


何で自分が不快に思ってしまうのかは知っていた。


俺は自分と彼女・・・彼らと違う性質の人間だと自覚があるんだ。


ここにいるこいつらは一時の快楽と、有り余る時間をつねに無駄に浪費する事に全力で生きている。


自分が幸福ならばそれでいい。


その瞬間が良ければ、後は何も厭わない。


名前も知らない見ず知らずどうしで盛り上がり、誰かと繋がった気でいる。


「―――なんだよな」


キョウジさんの話にその周りにいた人はどっと笑う。


もちろん俺も笑う。


たぶん、この場で俺以外の人間はみんな心底楽しくてしかたがないから笑うのだろう。


これは友達ごっこなのだ。


「あたし〜結構本気だよ〜」


「うっそ。じゃぁ付き合う?嘘だったらまじ殺すよ?」


後ろのほうでカップル成立だと、一際騒ぐ声が聞こえてきた。


どこまで本気何だか・・・まるでままごとだ。


話しを聞いていなくても、流れに任せれば簡単に俺はここに溶け込める。


いつでもここから抜け出せるしまた戻れる。


目の前のキョウジさんは大袈裟な素振りで笑いながら、俺に話題を振る。


「―――だったよな?トオル」


「でしたね」


彼らに感じるこの気持ちが何なのかは分からない。


ただ俺は確かに彼らを馬鹿にしている。でもそれと同時になぜか羨ましい。自分より輝いて見える瞬間があるんだ。


そこにはいつも、あまり気がつきたくない・・・


俺は手に持っている缶を煽った。


周りからは歓声があがる。
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