†鑑査委員制度†
柴田先生が黒板を数字で埋めていく。
俺は昨日より落ち着いた気持ちではいたが、かわりに欠伸を噛み殺してノートに書き写していた。
そしてやはり昨日のように、クラスメート盗さりげなく窺うとこれも、またまた昨日と同じく)野球部・木村星夜が目につく。
ただし今日は漫画を読んではいないものの、堂々と机に突っ伏して寝ていた。
まぁ・・・漫画よりはいくぶんマシか?
いや・・・何を基準にマシなんだろう?
1人で考えて突っ込みを入れる。
そんな自分に顔は渋くなった。
・・・ここ2、3日の俺はこんな表情ばかり浮かべているな。
そう思ったが、さっそく苦笑いだ。
全く板につく頻度だ。
そして金沢奈美に視線を移す。
姫宮ミコトは確か同じB組だと言っていた、三谷光輝と金沢さんが付き合っているかどうかが知りたいと話していた。
今日の午前中、俺は用事ついでに三谷光輝を一目見ようとB組に訪れた。
そもそも姫宮さんに今日の事で尋ねに来たのだが、生憎彼女は席を外していた・・・しかし三谷光輝の方はすぐに見つけることができた。
彼はクラスでは人気者という位置付けのようだ。
男女問わず、たくさんの子たちが彼を『三谷くん』『こーちゃん』(たぶん名前からくる愛称なのだろう)と親しげに呼んでいた。
彼もそれに笑顔で答えている。
顔立ちはぱっちりとした二重に、目立つ赤の混じった茶髪をしていた。それに薄い唇と鷲鼻。全体的に彫りが深く、いかにも男らしい体面をしている。
顔も少々濃いが整っている部類だろう。
ピアスはしてい無かったが両耳に名残の穴があいている。
そして何より俺が感じたのは彼の浮遊感だった。