†鑑査委員制度†


訪ねた時には三谷光輝を中心に、数人が一つの机に輪になって集まっており、そこで何かを眺めていた。


それがどうやらグラビア雑誌の類のようで・・・その輪の中には女の子も混じっていて心底驚いた。


眉を潜めたくなる会話が漏れ聞こえてくる。


それにも関わらず、結構なクラスの子たちを動員して、笑いが起きるのだから不思議だ。


三谷光輝が何かボケたりおどけるたびに、周りの男子や女子は口々に彼を罵りながら、顔には笑顔を浮かべている。


会話に加わっていない他のクラスメートも、その様子にクスクスと笑う。


その笑いには一切嫌悪感なく、みんな三谷光輝とその周りで起きている出来事を好意的に受け入れているようだった。


三谷光輝の印象は故にお調子者の軽率者。


でもどこか憎めない愛らしいキャラクターだ。


ついでに言うと、少し違う気もするが、恭二さんとどこか通じる匂いも彼から感じた。


何ていうか・・・頭が軽そう?


ぶっちゃけて言えば馬鹿っぽい!


それを思うとうちのクラスの金沢さんは・・・なんというか…


姫宮さんは2人が恋人同士なのではと言っていたが、俺にはどうにもしっくりこない組み合わせに思えた。


金沢奈美は明らかに眼鏡を掛けた、たまちゃんタイプだ。(『たまちゃんと愉快な同居人たち』参照)


姫宮さんがなぜこの2人の間に疑問を持つのか・・・?


三谷光輝を確認してからは余計に謎が深まった。


とまぁ、こんな事を考えるのは金沢奈美にしろ三谷光輝にしろ、当の本人達にしたら余計なお世話なのだろうな・・・


俺は鑑査委員制度があるにしても、本当に関わっていいのだろうか?


今更ながら疑問だ。


だって、俺は無責任な部外者なのに。
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