†鑑査委員制度†


キン――コン―カン―コ―――ン――・・・


色々考えているうちに、授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。


「数学係は放課後までにプリントの回収をお願いします」


穏やかな声でさり気なく柴田先生は俺に微笑みかけた。


はいはい、今日も呼び出しね。


全く余裕に笑顔なんて浮かべちゃて、いったい今日は何を聞かされるやら・・・


それにしても姫宮さん達はどうやって俺にコンタクトを取るつもりなんだ?


俺はまた教室で待っていればいいのかどうなのか


それに、姫宮さん達と話をつける前に先生との先約がある。


確かその事は昨日言っていないし、ケータイの番号のやり取りさえしていないからな・・・


・・・まぁ行く前にどちらかに声を掛ければいいか?


1人で自問自答し、自己完結した所で、頭上から声がかかった。


顔をあげると、金沢奈美と久保田莉加が何枚かのプリントを持ってやって来たところだった。


「瀬川くんこれ、近くの席の人から適当に集めたの」


「あぁ助かるよ」


なぜか腰が引けているような、遠慮する声音でそう話す金沢さんに笑顔で応対する。


実際バラバラで持って来られるより助かるしな。


「瀬川くん」


金沢さんからプリントを受け取りながら、今度は久保田さんの固い声が俺に話し掛ける。


目線だけ彼女に向けると、どうやら久保田莉加は緊張している。


「昨日、私。メールしたんだけど〜気づかなかった〜?」


間延びした明るい声だったが、やはり少し固さの残る言い方に思えた。


あぁ確かに来てたね。


「気づいたよ」


彼女の目を見ながらできるだけ優しい微笑みを目指して笑う。


「でも僕、あんまりケータイって持ち歩かないタイプなんだ。久保田さんのメール、気づいたの寝る前だったから、夜も遅いし返さなかった。ごめんね、それなら朝送ればよかったかな?」


申し訳ないという表情を作り、全くの嘘を口にする。


しかしそれに気づかない久保田さんはホットした様子を見せた。


心なしか金沢さんまで安堵する表情を浮かべている。
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