†鑑査委員制度†
「そうですね。それは僕たちにとっは、言わばタブーと言ってもよいと思います」
一度そこで切り柴田先生の様子を窺うが、黙って俺の話しを聞こうという態度を示したので、俺は先を続けることにした。
「先生は僕が聞く限りでは、十分に僕ら学生の特異性について、理解を示して下さっているように思いますが、そのうえでまだ校則というルールに縛られる事を強要なさるんでしょうか?・・・正直僕は鑑査委員制度について関わりたくないです。僕は誰かに白い目で見られることは避けたい」
これは本音だった。そこに既にあるルールの不条理に異を唱えるのは綺麗事で言い訳にすぎない。
結局俺はただ、自分が誰かに嫌な目で見られるかもしれない可能性が耐えられないし、面倒くさい。
他でもない自分が誰かに弾かれるなんてまず許せない。
「・・・瀬川くんの気持ちはよく分かりました。君の意見は尤もです。誰しも進んでこんな事はしたくないでしょうから。でも、残念ながら学校としては君に鑑査委員制度に応じて貰わなければなりません」
俺はその言葉に、とっさに唇を噛んだ。
ごねては見たが、たぶんそうだと思っていた。
「でも僕は基本的に、君にそれを強制しないつもりです」
「・・・どうゆう意味ですか?」
「逆に聞いていいですか?瀬川くんは、鑑査委員制度とは具体的にどんな事をやると思っているんでしょうか?」
「先生がさっき説明されたように、チクリ。つまり僕はクラスメートを監視して、何か不祥事があれば逐一先生に伝達する係りのようなものに、選ばれたって事ですよね?」
「そうですね。正解です。でわ、君の言う不祥事とは、具体的にどんな事ですか?」