†鑑査委員制度†
2人の顔を、交互に見比べた後、俺は浅いため息を一つ吐いた。
全くいきなり怒り出したかと思えば・・・
今度は仲良くしていきたいです。ってか?
まぁ俺も協力体制をとることには殆ど異論はないが・・・
「協力って言うのは、具体的にどうしたらいいの?」
「おっ乗り気なんだ?」
千里くんの茶化しにフルオートの笑顔で対応する。
「ここで断るのはさすがに顰蹙(ひんしゅく)でしょ?」
「あなたの気持ちとしてはどうなのよ?」
息を詰めるほどの威圧的な物言いで、姫宮さんは俺からの決定的な言葉を欲しがった。
もうだいぶ理解してきている、この子がこんな風に声を出すのは、たぶん自分の気持ちを隠すためなんだろうな・・・そして今は緊張している。
「いいよ、ぜひとも協力する」
「・・・一体どういう心境の変化なのかしら?」
訝しがる姫宮さんに、YESでもNOでもこの子は結局引っかかってくるのかと、内心苦笑した。
「僕も色々考えた結果だと思ってほしいな。それに、気がかりな事もあってね・・・君たちと手を組む方がどうも利口そうだし」
「やっぱ透くんって面白いね」
今度こそ満更茶化しでもなさそうな椿千里の声が飛んでくる。