†鑑査委員制度†
「・・・それはどうも」
千里くんに答えながら、やばいな俺、疲れてるか?とチラリと思う
この2人に対して地が出始めた自分をうらめしく思いながらも、早く話を進めたくて自らあの話題に切り込む事にした。
「確か金沢さんの事が知りたいんだったよね?たぶん、彼女は誰とも付き合ってないと思うよ」
「・・・そう」
姫宮さんはまだ訝しがっているのか、短くそう答えたきりで言葉を止めた。
「聞いていいかな?何で金沢さんと三谷くんの事をそう気にするの?」
「・・・三谷の事、どう思った?」
少し考える素振りをこちらに見せながら、姫宮ミコトはどーせ偵察に来たんでしょと、俺の質問を無視して話をまとめた。
「偵察って・・・また不穏な言い方だね。確かに様子を見る意味合いを含めて、訪ねたのは否定しないけど」
「いいから、あいつの第一印象はどう思ったか聞いてるのよ」
若干渋りながら、心の中で軽率、お調子者・・・と、彼への印象を浮かべる。
って、さすがに思ったままをダイレクトに伝えるのはまずいよな?
そう思ってから如何にも優しい表現で、三谷光輝について言い表しを試みる。
「利発そうで、クラスの人から慕われていたように見えた。彼、人気者でしょ?」
「まぁうちのクラスのマスコットだし」
マッ・・・!
何だって?
姫宮ミコトから飛び出した、インパクトの強い言葉に一瞬呆気にとられると、椿千里が話にフォローにならないフォローを入れた。
「クラスに一人、影響力の強い奴を作って見張っておいたほうが鑑査が楽なんだよ」
「作るってそんな・・・」
「うーん仕立て上げるって言うか?まぁミコトのクラスの場合、とにかくそれが三谷くんなわけ」
作るも仕立てるも結局一緒じゃないか、それに何だよそれ、またすごい話だな・・・
何も言葉が出せずにいる俺に、姫宮さんはさも理路整然と言わんばかりの説明を、ご丁寧にもし始めた。