†鑑査委員制度†


「・・・そうなんだ」


もうそうとしか答えられない。


「だからね、三谷はB組では重要人物の最右翼なのよ。女関係の把握もはっきりさせておく必要があるの」


取りあえず今は“マスコット”の件はひとまず置いておくとして、それでもまだ引っかかることがあった。


「鑑査委員としての理由は分かったんだけど・・・僕が言いたいのは、どこがその、2人が恋人だって調べようと思ったきっかけ?」


はっきり言って、金沢さんと三谷では、釣り合わない。


三谷光輝を見てからこその確信だ。


あれは金沢奈美とのバランスが取れていない。


尋ねた後、姫宮さんは暫く沈黙を保った。そしてゆっくりと口を開く。


「あの2人はね、幼なじみなの」


俺は少なからず驚いた。


なる程、幼なじみね。長い付き合いだからこその関係になったという訳だろうか?


取りあえずそう推測しておく。


「それと・・・」


姫宮さんがいつにもなく神妙な面持ちで言葉を発したものだから、きっと何か確証をも得ているのだと察せられた。


俺を多少身構えさせる。


「勘ね」


はっ?


まさかの言葉に思わず姫宮さんの顔を凝視してしまったが、彼女は至って真面目な発言のようだ。


俺が目を点にしていると、部屋に押し殺したような笑いが響きだす。


そしてそれは次第に無遠慮な哄笑へと変わる。案の定、椿千里のものだ。


「何よ椿!!」


姫宮さんの怒りにわなわなと震えだした声を聞き、あぁまた始まったよ。と、げんなりした。なおも千里くんは笑い続ける。
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