†鑑査委員制度†
「えっ?だ・・・だってお前・・・そんな勘とかアハハハハッ!俺も今日初めて知ったけど、ありえねーどっから来んだよ?その自信は!ハハハッ―――」
もう声はかすれ、千里くんは引き笑いになっていた。笑いながらも苦しそうに綺麗な顔が歪む。
俺は心の中で確かにと呟いてみたが・・・いや、やっぱりなんでもない事にしておこう。
それよりも、やはり姫宮さんの様子に気が気でなかった。恐る恐る彼女の顔を窺う。そろそろ大爆発の頃合いだろう。
しかし意外な事に、怒りの感情は顔に浮かべつつも姫宮さんは黙ったままだった。
少し遅れて彼女が我慢しているのだと呑み込むと、妙に感心したものだ。
何て言うか・・・成長(?)したよね。
「うるさい!笑うの止めなさい!女の勘は侮れないって言うでしょ!!」
あぁ言ったそばから・・・成長とかではなかったわけだ。
俺が1人早とちりをしていると、姫宮さんは突然俺に人差し指を突きつけて、高らかに宣言した。
「いい!これからお互い協力する事が決定したんだから、まずあなたの仕事は2人の関係をきちんと明らかにすることよ!」
ビシ――――!
と、どこからともなく聞こえてきた擬音に気後れしながらも、俺はしどろもどろだが反論する。
「いや・・・だから2人はただの幼なじみなだけじゃ・・・姫宮さんの言ってることってただの推測・・・」
「百聞は一見にしかずよ!」
いや、何かそれ微妙に意味違うような?
そう思いつつも言葉の途中で切られ、もう笑い止んだが今度は呆れ顔を浮かべている千里くんに姫宮さんは向き直る。そしてやはり思いっきり指を指し、さらに今度はオプションで空いた手を腰にあてている。
「椿は瀬川くんの教育係り!もう学校が休みに入るまで日にちないけど、きっちり鑑査のノウハウを叩き込むこと!いいわね!」
それを聞いた椿千里は先ほどまでの表情を一変して、一気にいたずらっ子のような意地の悪い笑みを浮かべた。
「なにそれ?おもしろそう。じゃ透くん、まずはクラスのマスコット作りから伝授する?」
そう言って名悪役張りの笑みを椿千里は俺に向けた。