地下裏の恋
そんな私を見て、ヤレヤレというように、ミユキは両手を上げて、小さく頭を振った。


ミカは横で相変わらず黙って話を聞いている。


「頑張り過ぎっす。オサ。」


「もう、充分、頑張ったじゃないですか。」


…。


「もう、充分傷付いたじゃないですか。」


…。


「だから、もういいんですよ。」


…。


「これ以上、頑張らなくても。これ以上、傷つかなくても。そろそろ、自分大事にしてあげてもいいんじゃないですか。自由になって下さい。」


「5年間、お疲れ様でした。オサ。」


そう言って、ミユキは目の前にあるグラスを私に向けて差し出した。


さっきまで、野獣のように騒いでいたとは思えない、穏やかな表情。その隣のミカも、優しい、静かな顔で焼酎の入ったグラスを、私の方に向けた。
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