わたしだけのサンタクロース
だから男の子のところに絶泊まるなんて絶対に無理だ。光希にいたっては女の子のところには泊まれない。
だけど年ごろの娘、息子だからやっぱり破ってしまいますよそんな事。
「めーい、いいの?」
「大丈夫、いーの、いーの。ちゃんと泊まるって言ったし、何も言わないよりまし。それに、何も言わないで外泊したミツが怒られるから」
せーぜい、怒られるがいいわミツ!!
ブーツのコツコツという音を二つの足音が住宅街に響かせる。
12月のこんな寒空の中、芽依の変な性格のせいでゆりまで歩かせてしまっている。
「ゴメンね?歩かせちゃって…」
「気にしないでよっ、元々クリスマスに付き合わせたのはアタシの方だもん」
〜♪
「ゴメン!!…あ、イチからだ♪」
芽依のサンタさんであろうイチからの電話だった。本当は一(ハジメ)という名前だけど、芽依だけがイチと呼ぶ。他の子には死んでも呼ばせない。
「いっちー♪」
《あ、芽依?ゴメン、俺ちょっとおくれるかも》
あ"、今なんつった?『遅れる』は?そんなの許すわけないじゃん。
「なんで遅れるの?事によっては許す」
《電車乗り遅れちゃってさ…しかも混んでるし。次の次くらいので来るから、許して!!》