わたしだけのサンタクロース



うん、分かったよ…イチの気持ち。



ずっと芽依と一緒だったんだね。



気付かなくてごめんなさい。



「…イチ大好き」



「俺も…」



二人の顔がどんどん近づいていく。熱く絡まっていた視線を瞼でゆっくりと遮る。



後少し。息がかかる距離。


「お疲れさまでしたー!!」


ドアがガラッと開き、ゴンドラの中に明るく元気のよい女性の声が響く。



その状態で固まる、芽依とイチ…そして係のお姉さん。



2、3秒止まっていた三人の間の空気が同時に動き出す。



「「「す、スミマセンー!!」」」



イチか芽依の手を握り、一気にゴンドラから飛び降り、その場から走り去った。


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