チョコレートフォンデュ
豊は四年制の大学に通っていて、りぃとは高校二年の終わりからの付き合いだそうだ。

大学では経営を専攻しているらしいから、将来は親の会社を継ぐつもりなのだろう。

最初はただのボンボンとしか思っていなかった私は、今では豊の庶民的な部分も垣間見る事がある。

例えばこのレストラン。


限りなくファミレスに近い感じのこのお店は、豊がおいしいからオススメと言って来て以来私も気に入って何度も二人で来た。

BMを乗りまわしているくらいだから、大学生の身分でもイチイチ高い店に行ったりするのかと思っていたから意外だった。

普通のラブホも行く。

たまに高級ホテルのスイートなんかとって驚かせる事もあるが、基本的には庶民の大学生とデートしている感覚だ。

確かに親に甘えている部分はたくさんあるが、今まで見てきたお金持ちのお坊ちゃまとはなんとなく違う気がする。


きのこクリームパスタが運ばれてきた。


私と豊の間にブラックコーヒーとパスタを挟みながら、


「豊とはずっとこの関係でいたい。」


と言った。


本音とは裏腹な言葉。


本当は今日が最後でも、いいと思っていた。ずっとなんて続けられないこの関係は、今日終わっても来週終わっても、同じ事なのだ。


コーヒーを一口飲んだ豊は、コップをテーブルに置くのとほぼ同時に、


「この関係って?」

と聞いてきた。

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