チョコレートフォンデュ
豊とこうゆう関係になってすぐ、お客さんにナンパされた。

彼はボンボンの王道って感じの奴で、私は彼をあっくんと呼んだ。

ご飯にほぼ毎日の様に連れてってくれた。

色々な夜景スポットにも、彼ご自慢のお車で連れてってくれた。

でも、彼と見ていても夜景を綺麗だと思うことはなかった。

それは、私が彼に飼われている存在であって、そこに私の意志はほとんどなかった。

助手席で笑って、ご飯おいしかったね。ありがとうなんて言っていれば、次来るときに洋服やアクセなどの高価な消耗品を私に注ぎ込んでくれた。

最初はそんなつもりもなかった私だったが、やはり一つのバイトだけで生活しているのはきつかったし、丁度良い需要と供給が成り立っていた。

彼は私の一つ上で、いかにも金持ちを鼻にかけている様な奴だった。


今日着てきた、親友の子がくれたコートを見て、そんな安物着なくても、俺が買ってやるから。と言われた。それがつい先週の事で、それ以来メールは返しているが、もう会うつもりはない。店に来たらどうしようとドキドキしながら働いているのだ。

もちろん、豊はそいつの存在が気に食わなかったみたいだから、もう私が会わないと言ったら喜ぶだろう。

でも、それは私にとって豊とは関係の無い事だから、特になにも話していない。


だから、私もりぃと一緒なのだ。

あっくんには、もちろん何度も誘われた。

でも、一度に二人の男と関係を持つ勇気がなかった。

家のクローゼットにはそいつからのプレゼントが山の様にある。

質屋にでも持っていってお金に換えよう・・・・



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