チョコレートフォンデュ
もちろん、豊とあっくんが鉢合わせることも何度かあった。

きっと私のバイト先の人達は、影で私を遊び人扱いしているに違いなかった。

あっくんも豊も、お互いの存在を知りつつ、お互いに言葉を交わすことはなかった。

ただ、たいていはあっくんが先にお店に居るので、それに気づいて帰っていく豊の姿を何度か見た事がある。

あっくんの場合、プライドが高いみたいで、豊の存在が、私と付き合いたいという欲望のほとんどの理由を占めている事を、私は知っていた。

結局自分も、誰かの道具なのである。

欲を満たすための。

豊も、私の寂しさを紛らわしてくれる打って付けの道具の様に。




「どうする?」

私は特に理由もなく聞いた。

 
「どうするって?」


「だから・・・」


「あの二人の関係を知りたいの?」

そうだ。私は、あの二人の関係が知りたいのだ。
それを知ったところで、私には関係の無い事なのに、興味本位というものは常についてまわるみたいだ。




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