チョコレートフォンデュ
いつもおごられっぱなしの自分を変えたくて、今日は自分が払うと言って強引に、会計を済ませた。

と言っても、豊はコーヒーしか飲んでいないのだが。


車に戻って私達は、りぃとあのおやじが出てくるのを待った。


豊の車のダッシュボードに入っていたサングラスを思い出し、私はそれをかけた。


「杏、かなり単純だよね。冷めてる様に見えて、実はめっちゃ無邪気なとこあんじゃん」


サングラスをかけると、何かに守られているみたいで、そんな事を言われても恥ずかしくなかった。


「刑事ごっこみたいでおもしろいじゃん。」


私はレストランの入り口から目を離さずに言った。


10分くらいして、二人がレストランから出てきた。

りぃは昨日豊から別れ話を切り出されたというのに、ものすごい笑顔でそのおやじと腕を組んで仲良さそうにしていた。しかも、ものすごいプリーツのミニスカートに、ニーハイで、いかにも私達の関係は怪しいですとアピールしている格好だった。
普段はパンツ姿が多いりぃからは、想像もつかない格好だった。

「豊の前でもああゆう格好してる?」


「たまにな。」


そっかぁ・・・。やっぱり、男の前では女は変わるものなんだな・・と、しみじみ思った。

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