チョコレートフォンデュ
駐車場の一番端に、黒のクラウンが見えた。

あれかな・・と思っていると、予感は的中。

おやじが後ろのドアを開け、りぃを乗せた。そして自分も乗り込んだ。
という事は、運転をしている誰かがいるという事になる。
やはりどこかの社長か誰かなのだろうか。
運転手付きイコール社長という安易な考えの私は、豊に意見を求める事にした。
豊の顔を見ると、首をかしげてずっとりぃ達の乗り込んだ車を凝視している。

「どうしたの?」

「いや、なんか最近あの車どっかでみたなぁと思って・・・」

同じような車を見るなんて、珍しいことではないと思う。私だって、黒のクラウンを初めて見たわけではないし。

でも、車好きの豊にとっては、それぞれの車種や型みたいなものの区別もつくと思うから、全く同じものをみたというのは、もしかしたら本当に今りぃが乗っているものを見たのかもしれないな・・と思った。



車はしばらく動かなかった。

もしかしたら、これからどうするかなどを話しているのかもしれない。

「もちろん、後追うよね?」

「俺はどっちでもいいけど、杏は気になるんだろ?」

図星だった。


なんか、さっき見たりぃは、100%りぃなのに、自分が知っているりぃじゃない様に思えた。
彼女にとって、恋愛イコールお金でしかなかったのだろうか・・。


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