チョコレートフォンデュ
待っている間、色々な人の出入りがあった。

ほとんどの人はスーツ姿で、なんか疲れた感じの印象だった。

そんな中、若い子と一緒の人も何人か居た。

「うちら何やってんだろうねー」

「杏がやりたいって言ったんじゃないの?」

「言ったっけ?」

豊は笑いながら私を抱き寄せ、顔を近づけてきた。
唇が触れ合いそうになった瞬間、窓を叩いてきた人が居た。

私達は慌ててお互いの体から離れ、豊は窓を開けた。

最初顔は見えなかったが、紺色のスーツを着た人だった。

豊が

「なんですか?」

と言うと、向こうは少しかがんで、ようやく私にも顔が見えた。

「あっ」

声を発したのは私の方だった。

「やっぱり杏ちゃんかぁ。」

「小川さん・・・」


私とそのおじさん、小川さんに挟まれた豊は私たちの顔を交互に見ながら、状況が掴めないでいた。



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