チョコレートフォンデュ
「じゃぁ俺達の事、結構前から気づいてたんですか?」

「うん。レストランに居た時からね。こっちはずっと車の中に居たから。杏ちゃんが見えて、なんで車を走らせないのかとずっと思ってたら、後をついて来てるのが見えて、これはなんかあるなと思ってたんだ。」

「そうなんだぁ。」

「それに・・」

と小川さんは付け加えた。


「妻とも話してたんだが、杏ちゃんはお金持ちのお坊ちゃまと付き合ってるって。」

小川さんは笑って豊をみた。

豊も少し気まずそうな顔で笑った。



小川さんは、私のマンションの六階に住むいつも煮物をくれるおばさんの旦那さんで、よく豊が迎えに来てるのを見てたから、豊の車も知っていたらしい。


「私達が着いてきてたのバレバレでした?」

「伊達に運転手何十年もやってきてないからね。」

「そうですよね・・」

「で・・・」


小川さんは少し聞きにくそうだったが、もちろん聞きたい事は一つだろう。


「ここで何をしてるんだ?」

「実は、彼女、私達の知り合いで・・。たまたまレストランで見かけたから、何してるのか気になって。」


「なるほど。」

小川さんは腕を組みながら、う~んと唸った。


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