チョコレートフォンデュ
私とその男の子の家の近くには公園があって、初めて一緒に寄り道をした。


ランドセルを地面にほったらかしにして、ジャングルジムの上まで一緒に登った。

そこで話をしてたら、クラスの女子三人が公園に入ってくるのが見えた。

内心はドキドキしてたのに、私は気づかない振りをして男の子としゃべってた。

すると、その子達もジャングルジムの上に登ってきて、杏ちゃん遊ぼうって言ってきた。

私は何も言えずに、ただ黙ってた。

男の子に、どうしたの?って聞かれたけど、なんにも言えなくて。

するとみんな私達の所まで来て、男の子が気づかないように私を押した。

私は動揺してた事もあって、一瞬何が起きたのか分からなかった。

でも、私はもうすでに落ちていた。

落ちていく瞬間、スローモーションで、女の子達の笑った顔と、男の子の驚いてる顔が見えたのを今でも鮮明に覚えている。

でも、地面に体が叩きつけられた瞬間から、記憶があいまいで、気づいたらもう家にいた。


気づくと私はベットで寝ていて、体全体が痛くて、特に右足がおかしくて、布団を剥いでパジャマを下ろしたら、包帯で巻かれた右腿が出てきた。

お母さんの話によると、その男の子がうちまで飛んできてお母さんを呼んで、倒れてた私を病院に運んだらしい。


人だかりができてた中に、知ってる子は居なかった・・・と言っていたから、女の子達はとっくに帰ってしまったのだろう。

運が悪かったのは、私が落ちた所に、大きな木の枝が落ちていた事。

そこに、私の腿が思いっきり刺さってしまったらしい。

今でも見る度にその事を思い出して、いじめられてた事へのトラウマは消えなかった。

いじめられていた事を人に話すのは、自分が弱い人間みたいで、それに、やっぱりそんな自分が恥ずかしかった。

男の子はその事をお母さんに話し、女の子達が私を落としたって知ったお母さんは、学校の先生に話してくれた。

それ以来いじめはなくなった。

クラス替えがすぐにあって、私はその子達と全く違うクラスになり、友達もできた。

その男の子と同じクラスになれたら良いななんて思ってたけど、その子は学年が上がると同時に、転校してしまった。
< 41 / 65 >

この作品をシェア

pagetop