チョコレートフォンデュ
りぃは、はっきりと言った。

電話越しでもりぃの顔が浮かび、嘘をついてる訳ではないと、根拠の無い確信があった。

「本気で、豊が好き。」

りぃは涙ながらに、でもしっかりとした口調で、そう言った。



寒さで目が覚めると、着替えもそのまま、昨日飲もうとしたホットレモンティーもそのままで、テレビでは毎週日曜日にやっている子供向けの番組が流れていた。

レモンティーを口に入れると、冷たかった。

なんだか、寂しかった。


化粧は帰ってすぐ落としたものの、豊の助言を無視した私の目はすっかり腫れ上がっていた。

お風呂に入りながらゆっくりと目をマッサージして、冷えた体を今度はしっかりと温めた。

すっきりした私は、気分を変えたくて散歩に出る事にした。


思い当たる目的地はヒルズ公園くらいで、何も考えたくない私はずっと読みかけのままだった文庫本を一冊持って出かけた。


こんなに桜は満開なのに、ここ最近は少し肌寒い日が続いていた。

でも、今日は昨日よりも少しだけ温かくて、公園の外からも子供達の声がたくさん聞こえてきた。

一つのベンチを見つけて早速本を開いた。

けど、しおりのしてあった所を開いても、かなり長い間放置してあったせいか、内容が思い出せず、前の章から読むことにした。



< 47 / 65 >

この作品をシェア

pagetop