チョコレートフォンデュ
完全に私の顔色を読めないこの人を、私は田中さんと呼んだ。
中島だってありきたりだけど、田中もごく普通の名字で、この人にはピッタリだと思っていた。
「俺は全然モテないから、中島さんみたいな子とデートすら行った事ないよ。あっ、中島さんの彼氏来たよ」
入り口に背を向けていた私は、田中さんの最初の言葉は聞き流し、最後の部分だけをしっかりと聞き取った。
豊の顔が頭に浮かんだが、私が振り返った視線の先には、あっくんが立っていた。
残念だけど、もうあっくんとは会いたくない。
途絶えない着信は、実は今日バイトに来る前にもあった。
人のコートをバカにする奴の顔なんて見たくもなくて、
「田中さん接客お願いします~」
初めてこいつに甘い声を出してみた。
一瞬戸惑った田中さんは、珍しく空気が読めたみたいで、すぐにメニューを持ってあっくんを席に案内した。
戻ってきた田中さんは、
「中島さんの事、呼んでるよ?」
と言い、注文されたであろうコーヒーをカウンターの中で作り始めた。
中島だってありきたりだけど、田中もごく普通の名字で、この人にはピッタリだと思っていた。
「俺は全然モテないから、中島さんみたいな子とデートすら行った事ないよ。あっ、中島さんの彼氏来たよ」
入り口に背を向けていた私は、田中さんの最初の言葉は聞き流し、最後の部分だけをしっかりと聞き取った。
豊の顔が頭に浮かんだが、私が振り返った視線の先には、あっくんが立っていた。
残念だけど、もうあっくんとは会いたくない。
途絶えない着信は、実は今日バイトに来る前にもあった。
人のコートをバカにする奴の顔なんて見たくもなくて、
「田中さん接客お願いします~」
初めてこいつに甘い声を出してみた。
一瞬戸惑った田中さんは、珍しく空気が読めたみたいで、すぐにメニューを持ってあっくんを席に案内した。
戻ってきた田中さんは、
「中島さんの事、呼んでるよ?」
と言い、注文されたであろうコーヒーをカウンターの中で作り始めた。