チョコレートフォンデュ
こんな時こそ、豊に来て欲しかった。

もし私が豊と仲良さそうに話してる所を見れば、あっくんも諦めてくれるのではないだろうかと思ったのだ。

でも豊が来る気配はなく、土曜日以来連絡は取っていなかった。

渋々田中さんの作ったコーヒーを持ってあっくんの席まで行くと、

「なんで電話に出てくれないの?メールもほとんど返してくれないし。」


「彼氏できたから、もうあっくんとは出かけたり電話したりできない。」

真っ赤な嘘だ。

彼氏なんかできてない。

豊とは、これからどうなるのかすら分からない。


「あのいつもここに来る奴の事?」

「・・・関係ないでしょ。」

冷たい私に、明らかに機嫌を損ねたあっくんは、

「じゃぁそいつと別れるまで俺毎日ここ来るわ。諦めないから」

足を組みなおしてこちらに体を向け、私を見上げて言った。


顔には大きな文字で「意地」と、書かれている様な気がしてイライラした。


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