チョコレートフォンデュ
私は友達が多かったが、ユリはどっちかと言うと、顔はかわいいが友達が少ない印象だった。きっとこうゆう事だったのかなとも思った。

だって、事実上ユリは私を裏切ったのだ。

きっとりぃはこの事をユリに相談して、ユリは高校の時の話をした。しかも友達の男を取ったなんて最悪な言い方をして。

卑怯だなって思った。




「で、りぃはなんて言ってるの?」

部屋にあげる件は無視して、私は豊に聞いた。二本目のタバコに火を付けた豊は、


「めっちゃ泣いてた。別れないって言われた。」

と、口元だけ笑いながら言った。

「もっとりぃを大切にすれば?私が言える立場じゃないけど、りぃは豊が浮気しても女の方しか攻めないくらい豊を信じてるんだから。」


嫌みっぽくなってしまったのは、りぃとの事を思い出してしまったからだ。





結局私とりぃの仲は修復しないまま、私はだたなんとなく行っていただけの短大を辞め、バイト生活をしていた。下北にあるちょっとオシャレなカフェで自給980円のバイトをして、好きなものを買い、生活費は親の脛をかじっていた。昔から私を自由奔放に育ててきた親も、さすがに短大を辞めたいと言った時は反対したが、すぐに、杏の好きな事をしなさいと言ってくれた。結局自立を考えた時、一人暮らしが思い浮かび、今のマンションを借りることになり、生活費を稼ぐのでいっぱいいっぱいになった。
親の有難みをしみじみ感じた瞬間だった。

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