星の約束


机の上に広げたのは教科書だ。

教室や家よりも、やっぱりここが落ち着くし、勉強がはかどりそう、そんな気がして。


「先輩も、もう卒業ですね…」


ぽつりと、独り言のように聖が言った。

だけど、なんだか気になって顔をあげれば、少しだけ寂しそうな顔をしていた。


「今年は後輩もいないし、先輩が卒業したら寂しくなりますね」

「そうだね…」


今年は1年生が来なかったのだ。

まあ当然と言えば当然だが。

先輩と後輩、どちらも同時にいた私は、とてもついていたのかもしれない。

私が卒業してしまえば、聖は1人だ。

後輩がいないのは、やはり寂しいのだろう。


「あ、」

「なんですか?」


.
< 19 / 40 >

この作品をシェア

pagetop