星の約束
そんな話をユカとしてから、センター試験の日はあっという間にやってきた。
これまでにないくらいに勉強したから、きっと大丈夫だと思っても、やはり少し緊張してしまう。
朝ごはんが思うように喉を通らなくて、「もういらない」とお皿を押しやると、珍しく母が「だめよ」とお皿を押し返してきた。
「今日は試験なんだから、ちゃんと食べないとできるものもできないわよ」
「え、でも…」
「でも、じゃないの、食べなさい!」
母の言うとおりに私は口のなかに詰め込んだ。
家を出るときに、靴をはいていると、後ろから母に声をかけられる。
「未波、これ」
渡されたのは“合格祈願”の御守りだった。
「がんばって!」
「ありがとう、行ってきます」
私はそれをポケットに入れた。
いつの間に買いに行ってくれたのかと、少し緊張がほぐれたような気がする。